【DESIGNER’S DIARY】June, 6月

【DESIGNER’S DIARY】June, 6月

今は来年の春夏の展示会に向けて準備真っ最中です。例年梅雨の時期になると、また今年もこの時期が来たかと季節を感じます。ただ、これから夏が来るのに、来年の夏がどうなっているかは正直分かりません。どんな夏が来てもいいように、いつものものをいつも以上に作れないかを常に考えています。むしろ無理に変える必要はなく、アイテムとして出来上がっているものは、そのまま継続していきます。自分の作るものを客観的に見ると、やはり日用品を作っているのだと思います。ハレとケでいう「ケ」。実用性と機能美と快適性、そしてそこに少しの魅力(色気のようなもの)を加えること。海外でお披露目する際も、おそらくランウェイではなくプレゼンテーション形式になるのか…。

そんな普遍的なアイテムが落ち着く自分は、最近GUIDIにとても関心を持っています。1896年創業(今年で130年)のレザータンナーがつくるブーツを中心としたブランドです。以前から認知はしていましたが、20代の頃の自分にとっては高嶺の花であり、仮に履いたとしても扱いこなせないと思っていた靴でした。ようやく時が来たというか、覚悟ができたという感覚。自分が好むのはバックジップの796Z。一枚革で作られ、ジップはエクセラのオリジナル。986などが有名ですが、7番台はもともとレディース木型から始まるシリーズで、986に比べると少しショートノーズで筒の長さも一般的なブーツに近い。Zはダブルソールの意で、すっきりしながらもボリュームがあるのと、ヒールの高さに少しの色気が出ているデザイン。履く上でのテーマは、“ヨーロッパのブランドが作ったアメリカ的なブーツ“というイメージでしょうか。



特におすすめはバックスキンのホースレザー(HORSELEATHER REVERSE)。堅固でありながら履きやすく、履き込むほどに馴染み、特別な手入れをしなくても良い味が出ます。ほとんどスニーカーを履かない自分にとって、ドレスとカジュアルの中間に位置する革靴として非常に重宝しています。夏でも関係なく履き、むしろ毎日どんどん汚れてほしいと思える。自分のものへと育っていく過程にある愛着は、いつになっても変わらず好きな感覚です。

ものを手に入れることは、買った時点ではまだ本当の意味で手に入れておらず、使い続けて自分のスタイルの一部になった時に初めて自分のものになるのだと思っています。所有する人によって、同じものでも姿形が違うのは、人の性格がそれぞれ違うのと同じこと。天然素材で作られるものほど変化が顕著に出て、個性となり、扱う人がどんな人なのかまで映し出しているように感じます。その違いこそが一番のカッコよさで、お金を出しても手に入れられないもの。

だからこそ、最初のまだ扱う前の状態は完成されたものでなければならないと、常日頃思いながらものづくりをしています。またアップデートしたアイテムが見せられるよう、精進していきます。

画像:プロトタイプの生地

 

BODHI 水谷