こんにちは、ボーディの水谷です。
10月は何かと気温が高い日が続き、例年にまして秋を感じにくい月でしたね。本当に冬は来るのかと私自身も思いながら、けれども寒い季節が好きなのでこれからを楽しみに待っています。前回はヘビーウェイトシリーズが出来るまでをお話させて頂きました。今回はブランド当初より同じくして展開している、ミドルウェイトシリーズについてお伝えできればと思います。
ものづくりをしていると、最初は1つのプロダクトに全ての要素を入れ込みたいと思って製作します。しかし、素材の特性や性能を追求していくと全てを備えようとすることで、損なわれてしまう良さがあることに気づきます。例えば度杢を詰めるという事は重量が出るため軽量化は図れないですし、カシミヤでボリュームを出すということは起毛させることになるので、綺麗な表面のものにはなりにくいのです。ヘビーウェイトの名前が付く前のプロダクトができた時、これ以上のスペックを求めないことを決めたのです。全てを詰め込んだらダメだと。そこで同時期にヘビーウェイトに無い、異なる要素を特化させたのがミドルウェイトの開発でした。
ミドルウェイトでやりたかった事は、綺麗で上品な通年着用可能な日常着というテーマ。もちろん真夏は着用が難しいですが、3シーズン可能なアイテムを目指しました。BODHIを始めるきっかけの1つは、カシミヤを1年中着れるようにすること。カシミヤは寒時期のものと思われるのが定説ですが、実は吸湿性が良く、蒸れることもかなり少ないハイテクな天然素材。上手く料理すれば今まで見たこともない機能性素材が完成します。(来春夏にはオールシーズン用のカシミヤ100%Tシャツの完成系と、カシミヤ100%シャツが出来上がります。)日本ではそこまで追求してカシミヤを扱うところは無いのでは。それは見た目も大事で、起毛しているものは春や秋にはまだ着たくないですよね。カシミヤ=紡毛(繊維が短く、起毛した毛、柔らかい毛)が主流だったものに、スーツや織物で利用する梳毛(繊維が長く、起毛していない、ハリのある毛)を使用し始めたのですが、そのままですとどうしても腰がなくペラペラで透け感のあるインナーのようなアイテムになってしまいました。そこで1本の糸を複数本に束ねて撚った太い1本に改良し編んでみたところ、今までに見た事のない表面の張りや光沢、そして束ねた事でアイテムに強度が増すというプラスの要素まで備わりました。素材を追求し作り上げていくと、その過程で思わない産物が加わることがあります。ただ大事なことは、初めにそれを作ろうとするかどうかであることです。
自分は暑がりで、通年を通してTシャツでいることが多く、寒くなったら上に着る、みたいな着こなしですが、実はヘビーウェイトよりもミドルウェイトをよく着ています。(今の時期もうすでに着ていますが、もう大丈夫な時期ですね。笑)天然素材の良さは、着込むごとにより風合いが増してくる上に、ミドル~の場合体に吸い付くような着心地の良さがあります。そしてヘビーよりもボリュームが抑えられているので、レイヤーを組みやすい万能アイテム。まだまだ多くの方に着て頂かないとこの良さは伝わりませんが、本当にビックリします。この2つのプロダクトはBODHIの始まりであり、これからも継続品です。