「新しい価値、“新た“める普遍」をテーマに、26SSシーズンでは長年の開発を経て完成した二つの新素材を発表いたしました。ひとつはカシミヤ製裏毛ジャージのスウェット「SUITE(スイート)」、もうひとつはカシミヤ製天竺ジャージのTシャツ「AURUM(オーラム)」です。この二つは、制作に着手する以前から、これまでにない新しい基準となるものになると確信していました。ものづくりを行う中で常に考えているのは、洋服において完全に新しい形やアイテムは存在するのか、という問いです。ファッションにおけるデザインはカルチャーの文脈の中で過去を周期的に参照し、歴史を繰り返しているようにも感じられます。しかしその一方で、製法や技術、再現性といった要素は時代とともに確実にアップデートされ続けています。そのため、同じカテゴリーで同じ形の服であっても、制作の過程や用途、そして持つ価値は大きく変化していくものだと考えています。
今回完成したスウェットとTシャツも、アイテム自体は何十年も前から存在するものです。ただし、ヨーロッパ文化における定番的な高級素材であるカシミヤと、アメリカ文化を象徴するジャージ組織を組み合わせ、それぞれの利点を最大限に活かすことで、新たな普遍的価値を生み出せると考えました。この発想は、どちらの文化にも属しきらない立場、第3者目線でいられる環境であったからこそ生まれたものではないかと思っています。突き詰めれば、自分の好きなもの同士を組み合わせた結果、理想的な形に辿り着いたということでもあります。
ヴィンテージやオーセンティックなものへの敬意は持ち続けていますが、それだけでは自分の目指すイメージには届きませんでした。新しく作る以上、オリジナルよりも高い機能性を備えたものにしたいと考え、カシミヤの特性を改めて見つめ直しました。保温性という従来のイメージに加え、吸湿性、消臭性、速乾性といった機能に着目することで、季節を限定せず一年を通して着用できる素材へと昇華させることができました。
旧:カシミヤ=冬、暖かい。季節性素材。
新:カシミヤ=吸湿性、消臭性、速乾性、オールシーズン対応の機能性素材。
新:カシミヤ=吸湿性、消臭性、速乾性、オールシーズン対応の機能性素材。
これからは「カシミヤ=冬の暖かい素材」という概念は変わっていきます。
普遍とは決して同じであり続けることではなく、同じように見えながらも、時代に応じて価値を更新し続けるものなのです。
普遍とは決して同じであり続けることではなく、同じように見えながらも、時代に応じて価値を更新し続けるものなのです。
BODHI 水谷